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慶應義塾大学東アジア研究所 現代中国研究センター

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ランチセミナーとは

現代中国研究センターでは、2008年6月からブラウン・ランチバック方式の公開セミナーを開講している。このランチセミナーの趣旨は、現代中国に関する時事問題や最新の研究動向を議論する場を提供することにあり、毎月第2金曜日の昼休憩時(12:00-13:00)に専門家を講師として招いて開催している。参加者は軽食を持参のうえ、活発に議論に参加することが望まれる。

<参加者の感想・内容紹介>

2013 年1 月ランチセミナー参加者(大学院生)

今回のランチセミナーは、国士舘大学の福田円先生を講師にお迎えし、間もなく出版される福田先生の新著『中国外交と台湾―「一つの中国」原則の起源―』の内容紹介を行っていただいた。台湾海峡における冷戦と中国に関するこれまでの研究においては、「台湾解放」や「一つの中国」原則が中国側の譲れない姿勢として扱われてきた。これに対し福田先生の研究は、近年公開された中華人民共和国外交部档案資料やマルチ・アーカイブの手法を駆使して、「一つの中国」原則がいかに形成されてきたかを検証している。この作業を通じて福田先生は、朝鮮戦争停戦から文革前夜へと至る時期における中国の指導者たちが、「一つの中国」原則から具体的政策を策定したというよりも、外交上あるいは安全保障上のプラグマティックな選択を正当化するための手段として「一つの中国」原則を使っていたことを明らかにした。
フロアからの質疑応答では、分断国家という視角から冷戦期ドイツとどのような比較が可能であるか、台湾をめぐる中国外交に見られたプラグマティックな性格が今日の領土・領海問題にどのようなインプリケーションを与えるかといった点について、議論が展開された。今日の中国はさまざまな面で他国や国際社会の目を引く外交行動をとっているが、このような時こそ、中国のとる外交姿勢の動機や思惑を歴史に立ち返って丹念に読み取る必要がある。今回のランチセミナーはその意義を改めて示してくれる、大変刺激的な場であった。


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