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慶應義塾大学東アジア研究所 現代中国研究センター

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研究グループ3:「中国をめぐる東アジア国際関係」

中国の台頭が喧伝されている。確かに中国の急速な経済成長とともにその存在感も急速に増大しつつある。これに対する評価は肯定的なものから否定的なものまでさまざまであるが、いずれにせよ中国を抜きにして今後の世界を語ることはできなくなった。逆に、中国もこれまで経済成長は主として貿易と海外からの直接投資に依存してきており、その意味でも自身が国際社会にスムーズに溶け込まない限り、順調な発展を持続させることはできない。さらに、中国は成長のためにエネルギー供給の高まりに対応せねばならず、しかも環境への負荷をできるだけ軽減させなければならない。国内的には前述のような社会矛盾の顕在化・多発化のなかで、対外関係においてこうした矛盾から目をそらすために政府はナショナリズムに訴える可能性がないわけではない。
つまり中国の政治的安定と国際関係はきわめて密接に連動しており、中国の政治的ガバナンスを考えるうえで、国際関係を考慮に入れることがますます重要になってきている。そこで、グループ3では中国の国際関係を特に東アジアを中心にさまざまな角度から取り上げ、国内政治との連動性も含めて検討してみたい。

研究計画(2007-12年)

  1. 研究テーマ
    中国は近年、外交活動を活発に展開している。中国の外交活動は世界の隅々にまで及んでいるが、この研究グループでは特に東アジアにおける中国の国際関係を取り上げる。中国の国内の政治的安定と経済成長のためにも、近隣諸国との関係は重要である。そこでテーマとしては、外交思想、対外戦略、外交政策決定過程などのほか、具体的な事例として、日中関係、日米中関係、中国-朝鮮半島関係、台湾問題などを取り上げる。また、安全保障、地域主義、多国間主義、資源問題、貿易・投資戦略などにおける中国の立場と実際の行動を検討することも重要である。
  2. 研究・教育目標
    本研究グループは、中国が近年最も活発に展開している外交を分析するため、多岐にわたる視点を持たなければならない。特に必要なのは、中国および海外の研究機関・研究者、ならびに実際の政策関係者との意見交換であり、できるかぎり国際的な視点をもつよう努力する。研究活動においては、大学院生を研究活動に加えることで若手研究者の育成も同時に行いたい。研究成果は絶えず学会誌や学会などで公表するとともに、公開のシンポジウムを開催することで社会還元を行いたい。
  3. 活動内容
    他の研究グループと同じように、定例研究会を設置し、定期的に開催することで研究メンバー間の研究状況を確認しあう。中国の外交活動は非常に活発であり、また日中関係においてもさまざまな争点が突発的に発生することもあり、不定期に研究会を開催することも考えられる。現在に関わるテーマが多いことから、政策関係者などを招き議論することもありうる。この研究グループでも大学院生チームを結成し、分析のための情報・資料収集と整理にあたってもらう。中国を中心に海外に赴き、学術研究者、政策関係者などとの意見交換を年一回のペースで行う。さらに年一回、3プロジェクト合同のシンポジウムを開催し、お互いの研究の進展状況を確認するとともに、内外の研究者・専門家からの意見や批判を受けることで質の向上に努める。なお、研究の成果に関しては最終的に図書として刊行することを目指す。


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