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慶應義塾大学東アジア研究所 現代中国研究センター

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研究グループ2:「政治社会構造における歴史の連続と非連続」

近年の中国近現代政治史研究における論点の一つに歴史的連続性の問題がある。中華人民共和国は1949年に成立したが、それ以後中国共産党による歴史観が中国近現代史の基本となった。つまり「半封建」「半植民地」の中国が、中国共産党の指導する革命によっていかに転換し、「解放」されたかを証明する歴史観がそれである。しかし実際には、1949年以前の中国は中国国民党の支配するいわゆる中華民国の時代であった。そうした事実が共産党の勝利によって共産党中心の歴史観に書き換えられ、覆い隠されてしまう側面があったことは否定できない。
歴史的連続性の問題提起は、こうしたところから、49年を歴史の決定的な裂け目とすることなく、中国近現代史を歴史的連続性のなかでとらえようとする一つの試みとして登場した。もちろんすべてを連続ととらえるのではなく、非連続の側面もあることもまた事実である。
そこでこうした観点から、現代中国政治を理解するひとつの試みとして、近現代史における歴史的な連続性と非連続性をできる限り政治社会構造のなかから解明しようとするのがこのグループの狙いである。

研究計画(2007-12年)

  1. 研究テーマ
    本研究グループは、現代中国の政治的ガバナンスを解明するという現代的視角をもちつつ、中国政治史、中国共産党史を再検討することを目標とする。分析の対象としては、歴代王朝史(マクロヒストリー)から見た現代史、統治体制と政治文化、農村における政治体制と政治意識、農村と都市における革命比較、共産党と国民党の比較、軍事史、政治思想史など、多様な角度から研究を進めることになろう。
  2. 研究・教育目標
    本研究グループは現状分析ではなく、より長期的視座を提供することを目的としている。もちろん必要に応じて、日常的な政治問題についても取り上げることもあるが、重点はより長期的な視点に立った政治的構造分析にある。研究活動に大学院生を加えることで若手研究者の育成も同時に行いたい。また、中国および海外の研究機関・研究者との関係を強化し、国際的な研究水準を維持し、こうした研究ネットワークの一翼を担うよう努力する。研究成果は絶えず学会誌や学会などで公表するとともに、公開のシンポジウムを開催することで社会還元を行いたい。
  3. 活動内容
    定例研究会を設置し、定期的に開催することで研究メンバー間の研究状況を確認しあう。現状分析を目的とはしていないが、現代的視点を確保するために、必要に応じて研究グループ1と合同研究会を開催することも考えられる。また大学院生チームを結成し、分析のための資料収集・整理にあたってもらう。中国を中心に海外に赴き、学術調査と意見交換を年一回のペースで行う。さらに年一回、3プロジェクト合同のシンポジウムを開催し、お互いの研究の進展状況を確認するとともに、内外の研究者からの意見や批判を受けることで質の向上に努める。なお、研究の成果に関しては最終的に図書として刊行することを目指す。


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